まだビームが撃てない

レーザーはもう撃てる

エレキギターの100年


超高額な楽器として、ストラディバリウスという名前をよく聞きませんか。超古いバイオリン。300年程前、当時の高名な楽器製作者により作られたもので、現代では約600本が現存するそうです


バイオリン弾けないけどストラディバリウス10本くらいほしいな〜。人々に見せびらかしたい


まあ楽器としては希少な存在で超高額なので、ほとんどの場合は企業が所有していて、そこから個人に貸与というケースが多いらしい。夢のない話…

ストラディバリウス。記録上は1200本ほどが生産されたらしく、そのうちの600本、約半分が現存することになる。けっこう多く残っとるやんけ、と思った。すごくない? 300年前だぜ。みんなの身近に300年前から伝わっている逸品、ある? ないね(断言)


楽器はときに、古ければ古いほど付加価値がつけられる。いわゆる「ヴィンテージ」。エレキギターもそれは同じで、ウン百万とかの個体は山ほどある。

とはいえ、楽器の世界ではエレキギターという種類の楽器は新参。まだ最初のエレキギター発売されてから、100年も経ってない。ちょうど70年くらいかな…


ところで。ストラディバリウスが高額なのは古典的な価値と同時に「音がいい」と評される面があるから。実際にいいのかどうか、化学的に音の振動や響きを分析した結果は…実は現代のヴァイオリンの方が美しい、というデータもある。そりゃあ、現代の楽器の方が精度的には絶対良いハズ。

音色の何をもって美しいとするかは人それぞれだが、ストラディバリウスにしか出せない音はあるらしい。木材保護で塗られたニスの成分、300年かけて乾燥した木材などにしか出せない音があるのは間違いない。


エレキギターの話に戻る。エレキギターもヴィンテージのものは音がズバ抜けて素晴らしいとされる。いわゆる「枯れた音」と表現されて、頼りない音色のようなものを想像するが、絶妙なトーンを奏でるとか。俺はヴィンテージものを弾いたことも聴いたこともないから確かめたことがないけど。

いわく、50年代に生産されたフェンダーストラトキャスターというギターは使われた木材、使われている塗装、ピックアップのコイル巻き数、またそれらが劣化したり乾燥して馴染むことによって唯一無二のニュアンスを響かせるそうです


一方で、そういった「ヴィンテージの音は最高だぜ説」への反論もかなり多い。エレキギターは、楽器本体に取り付けられたピックアップマイクが弦の振動を拾い、アンプに送り込んで音を増幅して発する楽器であるため、ヴァイオリンのような「木」そのものが振動するアナログな楽器たちと比べると、木材の影響が少ないのでは?という説もある。

それは確かに…とよく考える。どんなに上等なエレキギターでも、アンプがなければ楽器としてはほば成立しない。めちゃくちゃ生音が小さいから。むしろアンプの方が重要になるんじゃないか…?


インターネットでもこの手の論争はよく見るし、正直なところ話題としてはタブーに近いのかもしれない。どちらの音がより良いのか、ということは客観的に確かめようがないから。より大きい音が出ているか、といった面なら比べようがあるかも。そうならヴァイオリンの方が大きい音が出るから、ヴァイオリンの勝ちだなあ…

ちなみにエレキギターは「木材によって音が変わるかどうか」でもかなり激しい論争がある。これについては、音が良くなるかどうかはともかく、少なくとも音色は変わる。というやや曖昧な結論が下されがちに感じる。本体が鳴るようなアコースティックギターに比べて、木材の影響が少ないのは間違いないはず。


否定的なことばかり書いたけど、俺としては「古い楽器はすばらしい音色」であって欲しいな。ロマンがあるし、やはり古い楽器という肩書きはそれだけでカッコいい。70年間、大事に保管されていたり、演奏によりコンターやネック裏の塗装が剥げて黒ずんだりして、乾燥によりラッカー塗装が割れてクラックがビシバシと残ったりして、それでも人々の手を渡って現代に生きのこったギター。ヴィンテージの楽器は新しく増えることがなく、ただ減っていくだけ。そう思うと、せめて音もめちゃくちゃよくあってくれよ、と思ってしまう。

楽器として質が良く、音色が優れているから現代まで丁寧に保護されて生き残った、という考え方もできるしね。


最初のフェンダー社のエレキギターが発売された当時は、前例となる楽器が少なかったからか不評だったらしい。「便座」とか言われてたとか。言うほど便座要素あるか?

しかしまあ、アンプに繋がないと生音が小さくて楽器としては成立しない、誰も使っている人がいない、高級すぎる、などの面で当時としてはとっつきづらい楽器なのかなあ。


あそこで何かの間違いがあれば、エレキギターは一切世に広まらず、数ある「イロモノ楽器」として、知る人ぞ知るようなマニアックな存在になったのだろうか。

いや、他の人が発明したりするかも。やはりエレキギターを弾いている人間というのはカッコいい。エレキギターを立って弾く人人間のはかっこいい。人間の体のバランスに対して、ギターはなんだかビシッとカッコよく決まる構造をしている。放っておいても世に生まれる宿命の楽器なのでは…


今は昔ほどエレキギターが売れない時代とはいうけど、それでも楽器としてはかなり手の出しやすい部類ではある。1万円もあればアンプ込みで手に入ったりする。みんな、ギターをやろうよ。俺が教えてあげるよ。ドレミファソラシドくらいしか弾けませんが。

それにしてもエレキギターって70年前から形が変わってなさすぎ。ストラトキャスターテレキャスターとか、あまりに完成形すぎる…。なんかもっとこう、変形したり、さらに人体にフィットするとか、そういうのも見てみたいな。いやあるんだろうけど、流行らないだけか


100年後にはまた、今の俺たちが想像もできないような斬新でカッコいい楽器が生まれていて、世界的に普及して1万円で買えたりするのだろうか

エレキギターは廃れてしまって、こんな楽器があったんだねえ、なんて言われてたりするのかな? でも、ピアノも大まかな形を変えることなく300年も生き残ったんだから、エレキギターもそうであってほしいよ


エレキギターのこれからの100年、どうなるのか気になって仕方がない。というだけのことを、長く書いてしまった



川崎でした。