まだビームが撃てない

レーザーはもう撃てる

脳を揺らす


とよ田みのるさんの漫画「これ描いて死ね」の1巻を読んだ。漫画大好きな田舎の女子高生が、画力も何もないところから憧れと情熱だけを持って、とにかく漫画を描き始める話。つい先日、その1巻が出てたんです


物語の中のセリフで「たとえその漫画に技術が伴っていなくても、本気で描かれたソレには人の脳を揺らす何かがある」みたいなセリフがある。言葉にできない部分の話。「感動」ではなく「人の脳を揺らす」という表現もなんだか素敵

俺にも脳を揺らされたことのある漫画があるよ。ふとした時に読み返したり、セリフを思い出して勇気をもらえるようなそういう一冊。ただ、いい年した大人の心の芯に漫画作品があるのって、なんか人に言いにくいな…という気持ちもあるね

まあ、自分の内面のことなんてわざわざ他人に伝えなくてもいいのだろうけど


インターネットでなんとなく顔見知りになっている人たちの中に、漫画を描いている人もいる。趣味として描き続ける人、職業としての漫画家を真剣に目指している人。俺の観測できる範囲にいる漫画を描く人たちは、どちらかといえばナイーブな人が多い

雑な言い方をすれば「この世界が生きづらい」と感じているってことかな。俺自身がそうなのでより敏感に感じ取りすぎているのかもだけど、彼らのSNSのつぶやきだったり、会話の内容の中に、よく生きづらさの気配を感じる。浮き沈みが激しいとも言える

漫画を描くのって(失礼な感想だけども)すごく孤独で異常な作業だな〜とよく感じる。プロットだとかネームだとか下書きとか背景とか、一本の作品を成立させるために膨大な作業が必要になる。ただでさえ彼らはよく落ち込んだり、いわゆる「もうダメだモード」に入っている姿を見るので、気が狂わないのかと心配になる


俺の知っている人では、この1年間、賞に応募するための1本の漫画を描き続けている人もいる。その人も落ち込みやすい人で、長期間取り組んでいる作品に対して(これでいいのかな)と悩んでいる姿を何度か見たけど、それでもコツコツと原稿に打ち込み続けている

漫画を完成させるの、俺には無理だなあ。俺なら描いている途中で(これ、面白いのかな…)(誰にも評価されなかったらどうしよう…)なんてありふれた邪念に襲われて、最後まで描ききれないだろうし。やめるための言い訳を無意識に作り出すのが俺は大得意なんです


一つの作品に打ち込み続けて、ある地点でピリオドを打つのって大変なことだね。やろうと思えばどこまでも描き込み続けることもできるのに、これで一つの作品です!と完成させること自体が、俺には凄いことに思える。プロ漫画家なら締切という具体的な日付があって、それももちろんしんどいことだけど、締め切りを自分で設けて自分で区切りをつけるのもなかなか疲れることじゃないか。俺だったら、人前に出すのが怖くていつまでも完成させられないかも


いつもより長い文章になってしまいましたね。最近のおれは継続的に音楽を作ったり完成させることを目標にしているけど、漫画もいつか取り組んでみたいな。ちゃんと完成させて、一本の漫画です!と人前に出したい。きっとその時になれば震えて変な汗が出ちゃうけど、いつか…

いつか…とか思ってるうちに取り組んだ方がいいんだよな。でも今はとりあえず音楽だ

3Dモデリングを勉強する。ピアノを弾けるようになる。漫画を描いてみる。死ぬまでのあいだに、ゆっくり楽しんで消化していきたいところ


俺にはあまり行動力やエネルギーもなく、やるぞやるぞ!!!と燃えることは少ないんだけど、少しずつ、色んなことに脳揺らされていきたい


川崎でした。