まだビームが撃てない

レーザーはもう撃てる

エキストラたちの会話


Amazonプライムビデオで、ある邦画を見ていたんだけど。中盤のさりげないシーンで、ひとつ気になったことがあった


主人公のおじさんと、その古馴染のおじさん。おじさん2体が大学生だった当時に二人でよく来ていたという居酒屋で、ただ会話するだけの場面。ここは安かったよなあ、相変わらず若いのばかりで騒がしいな、みたいな会話。

その場面では、主人公たち二人は広い座敷の隅にあるテーブルにつく。座敷の他のテーブル卓はすべて夏祭り帰りの大学生たちがぎゅうぎゅうに詰まる。主人公たちが思い出話を続けるなか、チラチラと背景に映る大学生役の人たち皆、なにかを楽しそうに話している。ふと、このエキストラの大学生たちのような役の人は、実際に何の会話をしているんだろうと思った。

彼らには役がないので、与えられた台本は当然ないはず。それどころか彼ら全員、初対面だろうし。にも関わらずお互いの肩を叩き、楽しそうに話す内容ってなんなんだろう。


グ〜グルでエキストラ役について調べてみたところ、なんと「ああいうのは大抵口パクの演技で、何も喋っていない」という驚きの情報が出てきた。マジ!?!?? まあ、そりゃそうか。エキストラたちがガヤガヤやかましければ、撮影時に主人公ふたりの会話を録音することができないし。

より正確に言うなら、リハーサルの段階ではエキストラたちは全員、いちど声に出して会話をするらしい。俺は役者やって何年目だよとか、セリフのある役やりてえよとか、早く帰りてえよとか。そのリハによって会話や雰囲気、お互いの関係性を決めて、いざ本番の撮影では声が入らないように口パクでやるんですって。すごくない? すごいよ。

実際の撮影ではワイワイガヤガヤと効果音が入っていてなんの違和感もない。はあ〜。知らんかった。リアリティを追求して実際にエキストラも声を出した状態で撮影する監督もいるらしい。しかし、ごく稀とのこと。

主人公の「相変わらずやかましい店だなあ」ってセリフも、完璧に無音の環境で言ってたってことになる。撮影現場に俺がいたら「異常な静寂の中なのにやかましいって…」と不気味に思っちゃうかも。撮影現場では当たり前のことなんでしょうけどね。

また一つ、変な知識が増えちゃったね。俺も貴様も


YouTubeかなんかで見た、ハプニング動画を思い出した。ファッション誌かなにかの撮影現場で、バシッと決まったシャレオツ衣装の男が、写真一枚撮られるたびに次々とポーズを変えていく。短い時間で多くの写真を撮るため、撮影音のたびにつぎつぎポーズを変えていく。

しかし撮影中、なんどズボンが盛大にずり落ちてしまう。もろ見えになるパンツ。どうやら理想的なシルエットのために、脱げるか脱げないかギリギリの位置で、モデルにズボンを履かせていたらしい。それがパサリと落ちた…

ズボンが落ちるのも想定済みなのか、すぐさま脇のスタッフがかけよりモデルのズボンを戻す。写真に写るシルエット重視なためか、ベルトもせずチャックも閉めていない。また落ちる。パンツ見える。スタッフ戻す…みたいな。

その映像ですごいと感じたのは、モデルもスタッフも誰も一人として笑わなかったこと。一連の流れを映像として見た場合に、笑い声のなさでシュールさは際立つけど、そんな珍しいことじゃないのかなあ


知らない世界がたくさんある


川崎でした。